鍵盤があれば“ピアノ”?グランドと電子の違い
「ピアノを習ってみたいけれど、家にあるのはキーボード」「実家に電子ピアノがあるけれど、これで始めても大丈夫かな」。習い事を考えはじめると、こんな疑問が浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。名前が似ていて、鍵盤の見た目もそっくりなので、迷うのは自然なことです。
この記事では、読者のみなさまが疑問に思いやすい順に、「ピアノと呼べる楽器はどれか」「4種類の鍵盤楽器の違い」「調律と音量の話」「楽器の選び方の考え方」「最初に出会う楽譜のしくみ」「天理楽器の音楽教室の始め方」をたどっていきます。特定の機種をおすすめする記事ではありません。選ぶときの考え方の整理としてお読みください。
鍵盤がついていれば、すべて「ピアノ」と呼べるの?
楽器の分類では、弦を張って生の音を響かせる、グランドピアノとアップライトピアノが、本来の「ピアノ」です。電子ピアノやキーボードは、鍵盤を備えた別の種類の楽器として区別されます。
理由は、音の出し方にあります。グランドピアノとアップライトピアノは、内部に弦が張ってあり、弦が震えて音になります。そのため、定期的に調律をして音の高さを整える必要があります。一方で、弾き方によって音色が変わり、強さや響きの細かなニュアンス、表情をつけられる点は、生の音を楽しめる大きな魅力です。
電子ピアノとキーボードは、電気を使って音を出す楽器です。どちらがよい、どちらが劣っているということではなく、仕組みが違うので、得意なことも違います。まずは4種類を、ひと目で比べてみましょう。
| 種類 | 音の出し方 | 特徴 |
|---|---|---|
| グランドピアノ | 弦が横(床と水平)に張ってある | ピアノの本来の姿。広い強弱の幅、なめらかな音色、豊かな響きと表現力をもつ |
| アップライトピアノ | 弦が縦(床と垂直)に張ってある | 縦型でコンパクト。一般家庭や学校に広く普及している |
| 電子ピアノ | 打鍵(鍵盤を押す動作)を電子的な信号に変え、スピーカーから音を出す | 音量調節ができ、ヘッドフォンを使って演奏できる |
| キーボード | 電気を使って音を出す | 軽量でコンパクト。持ち運びがしやすい。機種によって特徴はさまざま |
グランドピアノとアップライトピアノは弦が震えて音になり、電子ピアノは打鍵を電子的な信号に変えてスピーカーから音を出します。この違いが、調律の要不要や音量の調節にも関わってきます。
ご自宅の環境やお気持ちに合わせて、それぞれの特徴を知ったうえで選ぶことが大切です。
グランドピアノとアップライトピアノは、何が違うの?
大きな違いは、弦の張り方です。グランドピアノは弦が横に、アップライトピアノは縦に張ってあります。この違いから、楽器の形や大きさ、置き場所の考え方が変わってきます。
グランドピアノは、なぜあの形をしているの?
グランドピアノは、ハープを寝かせているかのように、弦が床と水平に張ってあります。美しい流線型の形には、理由があります。弦の長さをおさめるためと、ムラのない音色をつくるという、音響学的な理由によるものです。形のかっこよさだけでなく、音色のための工夫が詰まっているのは、興味深い点です。
- 弦が横(床と水平)に張ってある
- 指の動きを、とても反応よくとらえるつくり
- 広い強弱の幅、なめらかな音色、豊かな響きと表現力
- コンサート用から家庭用まで、さまざまなサイズがある
鍵盤の数は88個です。
アップライトピアノは、なぜ家庭に広まっているの?
アップライトピアノは、弦が縦(床と垂直)に張ってあり、縦型でコンパクトにまとまっています。グランドピアノに比べて購入しやすい価格であることも重なり、一般家庭や学校に広く普及しています。鍵盤の数は、グランドピアノと同じく88個です。
また、中央のペダルの働きも、グランドピアノとは異なります。アップライトピアノの中央のペダルは、ハンマーと弦のあいだに薄いフェルトをかませて、音量を大幅に下げられる仕組みです。近隣に配慮したいときに役立つ機能です。
| 項目 | グランドピアノ | アップライトピアノ |
|---|---|---|
| 弦の張り方 | 横(床と水平) | 縦(床と垂直) |
| 鍵盤の数 | 88個 | 88個 |
| 中央のペダル | アップライトとは機能が異なる | ハンマーと弦のあいだにフェルトをかませ、音量を大幅に下げる |
| 広がり | コンサート用から家庭用まで | 一般家庭や学校に広く普及 |
電子ピアノは、どんな楽器で、何ができるの?
電子ピアノは、打鍵を電子的な信号に変え、スピーカーから音を出す電子楽器です。グランドピアノやアップライトピアノとは、音を出す仕組みが大きく違い、弦が震える生の音を楽しむことはできません。
その代わりに、いくつもの利点があります。アップライトピアノよりさらにコンパクトで、音量を調節でき、ヘッドフォンをつけて演奏できます。価格が安いことも利点で、住宅の事情や経済的な事情から、電子ピアノを選ぶ方も多くいらっしゃいます。
- 電源がないと音が出ません
- 基本的には弦は張られておらず、調律の必要もありません
- 音色は生の音ではなく、録音された音源などが使われています
- ピアノらしい音色やタッチを再現する技術は、日々進化しています
- 鍵盤の数は、88鍵が一般的です
音量調節とヘッドフォンの使用ができる点は、集合住宅や夜の練習で心強いポイントです。ご自宅の状況に合わせて、検討してみてください。
キーボードは、電子ピアノと何が違うの?
キーボードも電気を使って音を出す楽器で、軽量でコンパクトなので、気軽に持ち運べることが利点です。鍵盤の数は61鍵や76鍵などさまざまで、音色のバリエーションが多いもの、初心者やお子さま向けに鍵盤が光るものなど、機種によって特徴がまちまちです。
注意しておきたい点が二つあります。まず、ペダルがついていないものも多く、ペダルを使いたい場合は、別途購入することになります。次に、ピアノの代わりに購入する場合は、鍵盤の数が極端に少ないものは避けたほうがよいでしょう。
| 項目 | キーボードの特徴 |
|---|---|
| 鍵盤の数 | 61鍵、76鍵などさまざま |
| 特徴 | 音色のバリエーションが多いもの、初心者やお子さま向けに鍵盤が光るものなど、機種によってさまざま |
| ペダル | ついていないものも多い |
| 選ぶときの注意 | ピアノの代わりに購入する場合は、鍵盤数が極端に少ないものは避ける |
なお、天理楽器の音楽教室では、キーボードのレッスンが可能です。一方で、エレクトーン(電子オルガン)は教えていません。
ピアノの調律は、どのくらいの頻度で必要なの?
グランドピアノとアップライトピアノの調律は、年に1〜2回が目安です。これは奈良の夏の湿気や冬の乾燥を考慮した目安で、新品の場合や、環境の変化が大きい場合は、回数を増やすのが望ましいと考えられています。
理由は、先ほどお話ししたとおり、弦が張ってある楽器だからです。調律をして音を整えることで、美しい音を保てます。反対に、電子ピアノやキーボードは、基本的に弦が張られていないので、調律の必要はありません。
| 楽器 | 調律 |
|---|---|
| グランドピアノ・アップライトピアノ | 必要(年1〜2回が目安) |
| 電子ピアノ・キーボード | 基本的に不要 |
調律についてご不明な点があるときは、天理楽器の店舗にご相談ください。
夜や集合住宅で練習するときは、どんな工夫があるの?
音量に配慮できる仕組みは、楽器によって違います。アップライトピアノには中央のペダルがあり、電子ピアノには音量調節とヘッドフォンがあります。
| 楽器 | 音量に配慮するための機能 |
|---|---|
| アップライトピアノ | 中央のペダルで、ハンマーと弦のあいだに薄いフェルトをかませ、音量を大幅に下げられる |
| 電子ピアノ | 音量調節ができる。ヘッドフォンを装着して演奏できる |
住宅の事情や生活の時間帯によって、無理なく続けられる環境は人それぞれです。楽器選びのご相談は、お店でお受けしています。
楽器を選ぶとき、自分に聞いてみるとよい質問は?
置き場所・音量・音色や響き・お手入れの4つが、選ぶときの目安の一例です。ここまでの内容をもとにした目安ですので、気になる点はお気軽にご相談ください。
- 置き場所:縦型でコンパクトなアップライトピアノか、さらにコンパクトな電子ピアノか、持ち運べるキーボードか。置く場所に合うかを考えます
- 音量:夜や集合住宅で弾く時間が多いか。音量調節やヘッドフォンの使用が必要かを考えます
- 音色や響き:生の音(弦が震えて鳴る音)を楽しみたいかを考えます
- お手入れ:グランドピアノやアップライトピアノの場合、定期的な調律を行えるかを考えます
四つの質問に正解があるわけではありません。優先したい順番は、人によって違います。楽器選びの最終的なご相談は、お店でお受けしています。
鍵盤と五線譜は、どう対応しているの?
五線の上にいくほど高い音、下にいくほど低い音を表します。楽譜の上の音と、鍵盤、そしてドレミを一つずつ結びつけて確かめていくと、読み方が身につきます。黒い鍵盤の音を表すときには、#(シャープ)とb(フラット)が使われます。
| 記号 | 意味 | 弾き方の目安 |
|---|---|---|
| #(シャープ) | 音を半音上げる | 右上の黒鍵を弾く。ない場合は右隣の白鍵を弾く |
| b(フラット) | 音を半音下げる | 左上の黒鍵を弾く。ない場合は左隣の白鍵を弾く |
| ナチュラル | 変化した音を、もとの高さに戻す | もとの音を弾く |
音符の長さは、どうやって決まるの?
音の長さの単位は「拍」です。4分音符は1拍、2分音符は2拍、全音符は4拍です。音を鳴らさない部分は休符で表し、休符にも長さがあります。
そこに、長さを変える記号が加わります。代表的なものは次の三つです。
| 記号 | 意味 | たとえば |
|---|---|---|
| 付点 | もとの音符に、その半分の長さを足す | 4分音符(1拍)に付点が付くと、半分の0.5拍を足して1.5拍になる |
| タイ | タイでつながれた音符同士の長さを足す | 2分音符(2拍)と4分音符(1拍)がつながれると、3拍になる |
| 3連符 | たとえば、4分音符を3等分する音符 | 1拍の中に、同じ長さの音が3つ入る |
はじめは数えるのに戸惑うかもしれませんが、指で拍を刻みながら数えると、すこしずつ慣れていきます。分からないときは、そのまま講師に質問してみてください。
楽譜の「くり返し」には、どんな記号があるの?
楽譜の同じ部分をくり返すときは、記号を使ってまとめて書くことがあります。主なものを並べます。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| リピート記号 | はさまれた部分をくり返して演奏する。くり返しの始まりを示す記号がない場合は、曲のはじめからくり返す |
| 1かっこ・2かっこ | 1回目は1かっこ、2回目は2かっこを演奏する(くり返した部分の終わり方が変わる) |
| ダ・カーポ(D.C.) | D.C.まで演奏したら、曲のはじめに戻ってくり返す |
| ダル・セーニョ(D.S.) | D.S.まで演奏したら、セーニョ(記号)の位置まで戻ってくり返す |
| フィーネ(Fine) | D.C.やD.S.でくり返したあとは、曲の終わり、または「Fine」と書かれたところまで演奏する |
| コーダ | to Codaという記号があれば、コーダの位置へ飛ぶ |
楽譜には、ほかにもさまざまな記号が使われます。最初は難しく感じても、少しずつ慣れていけるはずです。分からない記号に出会ったら、そのまま講師に質問してみてください。小さな疑問も、気軽に声に出していただければと思います。
音楽教室には、何歳から通えるの?
ピアノやリトミックは3歳から始められます。ほかの楽器には、体格の面での目安があります。
| 科目 | 始められる年齢の目安 |
|---|---|
| ピアノ・リトミックなど | 3歳〜(科目による) |
| バイオリン | 分数サイズの楽器があり、幼児から可能 |
| ギター | 小学校低学年(6〜7歳)ごろ〜 |
| フルート | 小学3・4年生ごろ〜 |
| サックス | 小学5・6年生ごろ〜 |
音大卒、専門学校卒、現役の演奏家など、本格的な技術を持つ講師が指導します。初心者・お子さま向けから、資格やコンクールの対応まで、幅広いコース設定があります。発表会やコンサートへ出演する機会も、定期的にご用意しています。大人になってから始める方も、シニアの方も、お通いいただけます。
天理楽器の音楽教室は、どこにあるの?
奈良県・京都府・大阪府に、全部で9校あります。
| 府県 | 教室 |
|---|---|
| 奈良県(6校) | 奈良校/橿原校/生駒校/香芝校/イオンモール大和郡山校/西大和校 |
| 京都府(2校) | イオンモール京都校/京田辺校 |
| 大阪府(1校) | 富田林校 |
開講している科目は全体で52科目です。校ごとの科目数は、公式サイトの各校ページでご確認いただけます。西大和校と京田辺校は教室のみで、受付は、西大和校は香芝校、京田辺校は京都校で行っています。
レッスン日の振替について、知っておくことは?
生徒様のご都合によるレッスン日の振替は、行っていません。決まった曜日・時間に通っていただくことで、「音楽のある暮らしのリズム」をつくり、上達につなげていただくためです。
上達には、毎日の少しの時間の繰り返しが大切です。レッスンの日を「この曜日、この時間は音楽の時間」と暮らしのリズムに組み込み、毎回のレッスンを楽しみにしていただけるようにすると、練習のペースが自然に保たれます。続けるほど楽しく、上達のリズムをつくることができます。通える曜日は、体験レッスンのときにお伺いします。
天理楽器の体験レッスンは、どんな流れ?
体験レッスンは無料・予約制で、全体でおよそ30分です。最初に顔合わせとヒアリングが10分ほど、実際のレッスンが20分ほどです。楽器の貸し出しもあります。
- 体験は「通える曜日」をお伺いしたうえで、実際に担当する講師で受けていただきます
- 体験で受けた講師が、そのままレッスンを受け持ちます(曜日が変わる場合は、別の講師になることがあります)
- 体験後のご連絡は、最小限です
ご自宅に電子ピアノやキーボードがあっても、なくても、体験レッスンは受けられます。楽器選びのご相談は、お店で承っています。
楽器の種類や楽譜の記号は、知っておくと、ピアノの世界が身近に感じられるかもしれません。けれども、全部を覚えてから始める必要はありません。気になったことをひとつずつ、講師やお店に質問しながら、楽しく知っていけばよいのです。お気軽にお越しください。
よくある質問
- グランドピアノとアップライトピアノの違いは何ですか?
- 弦の張り方が違います。グランドピアノは弦が横(床と水平)に、アップライトピアノは縦(床と垂直)に張ってあります。アップライトは縦型でコンパクトなため、一般家庭や学校に広く普及しています。どちらも鍵盤は88個で、定期的な調律が必要です。
- 電子ピアノは、調律が必要ですか?
- 基本的に必要ありません。電子ピアノは打鍵を電子的な信号に変えて、スピーカーから音を出す楽器で、基本的には弦が張られていないためです。音量調節やヘッドフォンの使用ができる点も特徴です。一方、グランドピアノやアップライトピアノは、定期的な調律で音を保ちます。
- ピアノの調律は、どのくらいの頻度で必要ですか?
- 年に1〜2回が目安です。奈良の夏の湿気や冬の乾燥を考慮した目安で、新品の場合や環境の変化が大きい場合は、回数を増やすのが望ましいです。気になるときは、天理楽器の店舗にご相談ください。
- 天理楽器にキーボードのレッスンはありますか?
- 天理楽器の音楽教室では、キーボードのレッスンが可能です。ピアノの代わりにキーボードを購入する場合は、鍵盤の数が極端に少ないものは避けたほうがよいでしょう。楽器選びのご相談は、お店で承っています。
- エレクトーン(電子オルガン)のレッスンはありますか?
- 天理楽器の音楽教室では、エレクトーンは教えていません。キーボードのレッスンは可能です。習ってみたい楽器がある場合は、体験レッスンのお申し込みの際に、お気軽にご確認ください。開講している科目は、全体で52科目です。
- ダ・カーポとダル・セーニョは、どう違いますか?
- ダ・カーポ(D.C.)は、D.C.まで演奏したら曲のはじめに戻ってくり返します。ダル・セーニョ(D.S.)は、D.S.まで演奏したら、セーニョ(記号)の位置まで戻ってくり返します。どちらも、くり返したあとは、曲の終わり、または「Fine」と書かれたところまで演奏します。
- 楽器を持っていなくても、体験レッスンを受けられますか?
- はい、体験レッスンでは楽器の貸し出しがあります。体験は無料・予約制で、およそ30分です。通える曜日をお伺いしたうえで、実際に担当する講師で受けていただきます。楽器選びのご相談は、お店で承っています。
制作:天理楽器


